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自転車のある生活@COG

 
 
 

トピックス

女性の力を伸ばしたい

1997年、私はニュージーランドへ旅立った。
日本から出た!といった解放感は、
日々の暮らしの中で見えない鎖から解かれたようだった。

今から約30年前、旅立つ前私はOLでした。
当時、会社員の女性に共通した仕事というと電話番、お茶くみ、書類整理、、、
勤めて3年以上は経っていたであろう、ある日。
「こうしたことを女性だけがするのは、おかしいと思う」と上司に言っていた。
「お客さんが来た時、オヤジがお茶を出すのか?」と返された。
共通の仕事は、みんなでするのではないか、ということをマジメに訴えていた。
「仕事のステップアップをしたい。研修を受けたい」と言っても、
「女性だから」と言われ、労組へ言っても同じだった。
その前には、女性ということで
こんなこともあんなこともしなければならないのかと、
逃げ出した場面もあったが、転職した。
「女性だから」である差別が、変わるなんて、到底先だな、とあきらめた。
だから、自分がやりたいのは何なのかと、いろんなことを試していた。
まだ封建的な世の中で、企業も、家族のあり方も、
守られているといえばそうだったが、
それ以外の選択肢はないのかと、探していた。
そんな時、自転車と巡り合った。
ペダルを踏むと、それまでバラバラだった心と体とが一致した。
自分の力で進める嬉しさで、どこまでも行けるような気がした。

そしてニュージーランドへ行った。
私がフラットに住んでいた時は家のオーナーが同世代のNZ人男性で、
私を含めて4人で住み、家事は分けて順番にしていた。
フラット生活とは、部屋を分けて同世代の若い人たちが共同生活をすること。
一人暮らしより手軽に始められ、親元から離れ自立ができ、
生活ルールを知り、同世代の現実的な生活体験ができた。
それと「キウイハズバント」「キウイパパ」といって、
家事一切をする男性の呼称があった。
女性もできること、車の運転や芝刈りや簡単なDIYなどしていた。
過ごした日々の中に、日本であった違和感がここにはないという
気づきがあったり、男女差があまりないことを知った。
また思い出の一つ、使っていたコインには、エリザベスクイーンの横顔。
古いコインは、若かりし頃のクイーン。
新しいコインは、お年を召したクイーンが施されていた。
ニュージーランドの現首相は女性のアーダーン首相。(2023.1.20現在)
多様性の社会への対応、緊急時の聡明な判断、
国民への柔軟なメッセージなど、NZで過ごしたことを思うと、
あのような土壌が今の時代に合ったトップを創っているのだと思う。

旅の終わりに、女性専用のバックパッカーで荷物をバラしたり、
数日間過ごした。
宿泊客はもちろん、スタッフもすべて女性のみ。
安心と清潔感があり、和やかな雰囲気だったのを覚えている。
それと、懐かしさ、、、ふと高校時代を思い出した。
私が通っていた高校は、商業で女子が多く、
みんな伸び伸び自由にやっていたな、と。
好きなことに没頭していた。
それが成功体験を積み重ねる、という自信につながっていたのと思う。

今日の日本では、家事をはじめ季節や生活様式の事柄を女性が担っている
役割にボリュームがあると思う。
これらは話し合ったり、細かく見直したり、
時代の変化によって変えていけばいいと思う。
周りの社会や大人の古い価値観の押しつけによって、
女性のアイデンティティーが確立できずに埋もれてしまうこともあるでしょう。
だから私は、「好きなことをする」をおすすめします。
好きなことだったら続けられるし、続けることで一通りのことがわかったり、
身についたり、自分の強みになる。
自己肯定できるものを持っていると、軸ができ、そこから成長できる。
我が強いとか、正当性を主張するとかではない。
芯のしなやかさで強くなれる。
男性に張り合うための力の強さではない。

自転車に巡り合うまで悩んでいた時間が長かったけど、深く関われてよかった。
2005年から毎年6回、
ディストリビュータとしてドイツの自転車ショーへ行った。
ブースでは翌年の新商品が並び、選ぶ。
私がある商品を手にして「こうした方がいい」と伝えると、
男性アテンドに代って商品責任者が二人来てくれた。二人とも女性だった。
女性同士だからか、会話はスムーズで、いろいろと話しができた。
通常業務でメール連絡をしていた担当も女性。
女性特有のソフトさが生かされて、
さらにはメーカーの独自性につながっているのだと思った。
海外メーカーと取引や旅でも、男女差をあまり感じられなかった。
日本に帰ったり、生活に戻ったりで、男女差があるな、と
それが、30年前から変わらないのが、
男女格差ランキング3桁に出ているのだとわかった。

今では、子供たちの教育には、
男女差をなくす動きがあるのをニュースで知った。
科目や実習が「男子は〜、女子は〜」ではなく、個人の好みで選ぶように。
制服はスカート・ズボンではなく、
ユニバーサルで選べるようになってきているとのこと。
大人も見直す時期に、
このコロナ禍でいろんなことが変わり始めた今にあるのだと思う。
社会問題が複雑、多様化している現在、
それまでの価値観や男性だけに偏っていては、伸び率は頭打ち。
それまで補助的な役割、アシスタントで周りをよく見てきた女性、
和洋中の料理をこなせ、手作り弁当とか、きめ細やかにできる女性、
人の応援やお世話が好きな女性、
そうした日本独特の文化を生き、現実を見てきた女性こそが、
今の問題を解決できる力になると思っている。
目標や目的を、大きく・多く・高く、、、といった
右肩上がりに伸ばすことばかり目を向けるのではなく、
ソフト面を充実させて、心のストレスを軽減して、スムーズに進めば、
自然と効率が上がったり、各自が自発的に動ける環境になって、
緩やかに経済が伸びてくると思っている。
女性の力を伸ばすことが社会の潤滑油になり、
経済効果や男女差別、人間関係におけるハラスメントなどを
いい方向に向けると信じている。

 2023.1.20

毎年初めに姪っ子たちへ図書カードとメッセージを贈っている。
今年は以下の通り。

2023年が明けました。
お元気ですか?
私は、”これから”を考えています。
”これから”を生きていくあなたへメッセージを送ります。
時代が大きく変わってきた今日、女性の力が重要になってくると思います。
今、いろいろなことが複雑になり、多様化しています。
それまでの方法では解決できないことが増えてきました。
そこで必要になるのが女性がもっている力のひとつ、
『柔軟さ』です。
 発想、判断、決定、変更、思いやり、対応、調和、平等、、、にかかります。
それには、自分を見い出し、周りに感謝し、
本を読み、今を社会を他者を自分を知ろう。
日々の生活で使えるよう『柔軟さ』を磨いていきましょう。

 2023.1.6

おしまいにします。

自転車にまつわる私の活動、報告、提案などを、
コグのホームページから伝えてきました。
ここしばらくの間に、
すべてやりつくしたという気持ちに至りました。
みなさまのおかげで、
無我夢中となって自転車に取り組めました。
すべての出会いに感謝を申し上げます。
自転車を深く学び、思い出を共有し、通じ得た大事なこと、
さまざまな経験が自分を成長させてくれました。
魔法がとけたような今、よくがんばったなと思える事柄が、
自分にあって、よかったです。
みなさまにおいては、これからも
自転車のある人生で豊かさをもたらしますように。

COG/コグ 高島真希子

 2021.11.12 UPDATE

【取扱商品について】
Dry、ziener、商品が少々ございます。
商品在庫がある限りは、販売します。
次の入荷をお待たせしていた方々にはお詫び申し上げます。
また、ご愛用いただきながらご不便をお掛けすることとなり、
申し訳ありません。

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