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東京サイクルショー 2005

ビチスポーツモリアイ 盛合博美氏にインタビュー
出展バイク:Emme Akka FAUNIERA , VIAGGIO

〜グランフォンドやブルベなど
  ロングライドを楽しむためのカスタムバイク〜

Mr.Moriai
 
EmmeAkka

「休みの日は、120〜180キロくらい走ります。」
走るフレームビルダー盛合博美さんは、ロングライドを楽しんでいます。いつも走っているコースは、岩手県宮古市、三陸のリアス式海岸から山への周回。起伏は激しく、海から離れると緑深くつづら折りが続く厳しいコースです。
宮古の夏は短く、冬は雪こそあまり降りませんが氷点下になる日も多く山頂付近は路面が凍ります。立冬ともなれば日常ストーブが必要となり、すでに寒さが厳しい中でも、盛合さんが走り続けているのは、グランフォンドに夢中だからです。97年イタリアのドロミテマラソンに参戦し、その後も年に1度は、イタリアの各地で行われるグランフォンドに出場しており国内でもシーズン中は、東北を中心に遠征も含めて20近くのサイクルレースに参加しています。今回お会いしたサイクルショーまでの毎週末、サイクルイベント続きだったそうです。
さすが走るビルダー。

私の父の実家が宮古市にあり、小学生くらいまでの夏休みは毎年そこで過ごしていました。数年前に「宮古にも有名なフレームビルダーさんがいるんだ。」と盛合さんの存在を知りました。2005年の夏に数年ぶりに宮古へ行き、隣町の津軽石にある盛合さんの工房へ初めてお伺いました。私がその年の5月に「東京−糸魚川ファストラン」に参加したこともあり、そのときの話題は”ロングライド”に集中しました。「いつかグランフォンドを宮古で実現したい」と思っていた盛合さんと、「すばらしい環境の宮古で東京の人が走ったら気持ちいいだろう」と思っていた私が宮古でグランフォンドをしたいと話し合いました。そして今回の再会で実現のために何か始めようと意識が固まってきました。
私も何度か、ロードバイクを持って宮古周辺を走り回ったことがあります。海岸線の起伏は激しいけれど海の景色はおだやかで美しく、空気がきれいで海の幸は新鮮で美味しいです。東京から遠いだけに、美しさは汚されずに残っています。何年ぶりかに訪れた夏の宮古、日本にも変わらないものもあるのだとホッとしました。

MIYAKO
宮古の「浄土ヶ浜」は、すばらしい景色!

「Emme Akka(エンメアッカ)」の意味は、盛合さんのイニシャル「M・H」のイタリア語読みです。東京のマツダ自転車工場でフレームビルダーの技術を習得した後、イタリアのフレーム工房「ROSSIN(ロッシン)」にて、さらに経験を積まれました。
ロードの本場ヨーロッパの工房で見たものは、選手のパワーに負けて次々と壊れ、戻ってくるフレーム。そして、それらを直す職人たち。
「壊れたら直せばいい。」
日本の(壊れることを恐れる)感覚とは大きく違ったようです。火の扱い方も日本とは違うことを学び、新素材の加工に挑む技術をそこで得られました。今も毎年グランフォンド参加のためにイタリアへ行き、その際に持ち込んだバイクを現地で開けてみると移動のためにフレームが時々歪んでしまうようですが、その場で直してしまうそうです。直しができるフレーム、それができる技術。
ビルダーとしての特徴などは?との問いに、「何でもやります。」ときっぱりおっしゃいました。ロングライドのためのフレーム作りには、シートアングルを通常よりも寝かせたり、ハンドリングも直進性に比重を置いて設計されているそうです。長距離を走り込んでいる盛合さんだからわかるのです。今まで作ったバイクのオーナーエリアは、岩手、青森、秋田、宮城などで、採寸は本人のサイズはもちろんのこと、今乗っている自転車を見てライダーの乗り方、得意な走りや下りが苦手な場合は克服できるような設計など詳しく話し合いながら希望通りのカスタムフレームが可能だそうです。

EmmeAkka
 
MH
M H でエンメアッカと読みます

「塗装がギリギリでなんとか間に合った。」と搬入前に盛合さんは言いました。
会場では、そんなことは措くともせず真っ赤なじゅうたんの上に2台のカスタムバイクが木製の特別スタンドに飾られて風格を漂わせていました。今回の出展バイクは、グランフォンド仕様の「FAUNIERA」と快適にサイクリングができる「VIAGGIO」。

EmmeAkka cycles
出展は2台です

「FAUNIERA」
一昨年にマルコ・パンターニの胸像が建てられたイタリア・クオーネ、モンテ村から上がる峠「FAUNIERA」からモデルの名前をつけたそうです。
フレームの材質は、コロンバス社のニオビウム・ライフというスチールとマグネシウムのハイブリッドフレームで、軽量化と衝撃吸収性の良さを両立させているとのことです。耐久性とコストパフォーマンスを考えられています。溶接部の仕上げもきれいで盛合さんのビルダーとしてのこだわりが伝わってきます。フロントフォークもコロンバス社のCARVEでフレームとの相性も良く、メインコンポーネントはカンパニョーロのケンタウル、ホイールはフルクラムのRacing5が採用されていて、これらも「ロングライドには軽さの追求だけがポイントではない、耐久性と丈夫さも必要である」という氏の考えが反映されていました。本場グランフォンドの経験に基づいてフロントチェーンリングはコンパクトを採用、フロントディレーラーもコンパクト専用の直付けとなっていました。その他サドルはフィジック ロンディーネ、バーテープはフィジックのGEL入りと、とことん快適性にこだわった自転車に仕上がっていました。
この仕様でフレーム+フォークが149,100円、完成車で330,000円。イタリアの現地でカスタムバイクを作ったような価格設定。 思わず「あまりにも安くないですか?」と聞くと、何も言わずに笑顔を返されました。それは、乗り手のカスタムバイクという夢をかなえてくれる心意気を感じました。

Fauniera by Emme Akka 1
 
Fauniera by Emme Akka 2
ロングライド仕様「FAUNIERA」

「VIAGGIO」
もう1台は「VIAGGIO」。家から出発してどこかへ行って、家に帰ってくる、という意味が含まれているそうです。日常の自転車でいつもより少し遠へ行くことが小さな冒険、季節の移り変わりが感じられる小さな旅、そんな体験が気軽にできそうです。
「FAUNIERA」と同じコロンバス社のニオビウム・ライフを使用した軽量フレームで、こちらは見た目にも美しいステンレスラグ仕様。最近では手間がかかるためあまり行われないラグ溶接がポイントとなりクラシカルな良い味がでています。気軽に乗れるようフラットバーハンドルにコンポーネントはシマノNEXAVE、ハブダイナモフロントホイールを採用し夜間走行も電池切れの心配がありません。また、ワイドギアを装着しているので非力な初心者でも楽に走り出しができます。泥よけも装備しているので水たまりのハネも気になりません。とはいえタイヤはロードレーサー用の23Cを採用しているので走りの軽快さにも期待が持てます。
ラグ仕様でこの価格。完成車 280,000円 フレーム・フォーク 180,000円。

Viaggio by Emme Akka
普段乗りも快適な「VIAGGIO」
 
Mr.Moriai's signature
フレームには盛合さんのサイン

エンメアッカさんへのお問い合わせ、ホームページはこちらです。
>> https://www.emmeakka.net/

その他サイクルショーの会場をざっくりと見渡すと、東京サンエスの「terry」、アキコーポレーションの「ルイガノ」、飯島美和さんがモデルをしていた「パールイズミ」などレディースウェアを展開しているブースは、アピールに力が入っているように見えました。全体的にも今までになく女性来場者が多く(ブース出展スタッフ談)ブースの女性スタッフにウェア説明を熱心に聞いている姿が印象に残りました。
 Terry  Louis Garneau

Pearl Izumi