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グランフォンド・コルナゴ 参戦記

2012年8月28日(火)〜9月6日(木)

ミラノ駅
ミラノ駅
ミラノ駅構内
ミラノ駅構内
古い街並みと近代的なビルが建築ラッシュ
古い街並みと近代的な
ビルが建築ラッシュ
ミラノ駅前の大通りは自転車道が整備されていた
ミラノ駅前の大通りは
自転車道が整備されていた
ミラノ大聖堂 公共レンタル自転車の番号は1番
ミラノ大聖堂
公共レンタル自転車の番号は1番
街中にある自転車置き場
街中にある自転車置き場
中心街に自転車置き場があった
中心街に自転車置き場があった
シンプルな形の置き場が多かった
シンプルな形の置き場が多かった
ミラノの自転車屋さん 実用車がメイン ロード、MTBもオリジナルフレームがあった
ミラノの自転車屋さん
実用車がメイン ロード、MTBも
オリジナルフレームがあった
自転車よりもオートバイが多い?
自転車よりもオートバイが多い?
歩いていると公共レンタル自転車の撮影に出くわした
歩いていると公共レンタル
自転車の撮影に出くわした
ジェラート売りの自転車
ジェラート売りの自転車
交差点 信号が変わるとかなりのスピードで飛ばす
交差点 信号が変わると
かなりのスピードで飛ばす

「海外のレースに出たい。」
ロードレースに参戦するようになって、次第に漠然とした夢になっていった。
私が目指していたS選手のように、レースで強く結果を残せば、海外で行われている女子レースのメンバーに選ばれる、と思っていた。しかし、私は結果が残せず、なかなかそうはいかない。
2005年から6回、ユーロバイクショーの出張で足を伸ばし、ヨーロッパの国々の自転車文化のようすを見てきた。その中でも2年前、改めてイタリアが楽しかった。
その後、イタリアで走りたいと思っている中で、北上山地サイクリングをきっかけに本場のグランフォンドに出ることを決めた。

●イタリア・ミラノ 街、人、自転車のようす
イタリアへは3度目の渡航だ。
1回目は12年前、ヨーロッパの自転車の旅の途中、海岸線からジェノバ→ピサ→フィレンツェ→シエナと走ってローマから帰ってきた。
2回目は2年前、イタリア→スイス→ドイツを走った。特にイタリア北部ブレシアの周りと街からアルプスに向け、スポーツバイクを楽しんでいるサイクリストをたくさん見てイタリアが改めていいなと思った。
そして今回、ミラノは初めて訪れた。


マルペンサ空港からミラノ中央駅行きのバスに乗る。
街の中心地近くになると建設中のビルディングが建ち並び、道路も工事中の箇所が多い。不景気とか失業率が高いとかニュースでのイメージとはだいぶ違った。
街中を歩くと、中心街は古いビルが並ぶ。デパートがあるのではなく、ブティックというのか、ブランド、メーカーの店が、ズラーッと並んでいる。世界的に有名なブランドが集まり、イタリアの工房が並び、ウィンドーショッピングでファッション界の最先端が見れるようだ。
他の大きな都市、パリもロンドンも東京もどこへ行っても同じブランドが並んでいるけれど、ミラノはさすが職人が生きてきた証という感じがした。


ユーロバイクショーの場所がドイツで、ヨーロッパの人の印象がそこで刻まれてしまっていたようで、同じヨーロッパでもイタリアってこうだったとハッキリ思い出させてくれた。
人と人との距離が近い。
自転車の旅から12年の月日が流れ、携帯電話やスマートフォンの普及具合が日本と同じくらいに感じられても、それは、変わることはなかった。
例えば、お昼をファーストフードショップで食べようと、テラス席二人用のテーブルが3つ並んでいる一番端に座った時のこと。
私の向かいに、若い男性が
「空いている?座っていい?」
イタリア語だけど、伝わるので、
「いいよ。」(日本語で言う。伝わっている。)
その横に老婦人が座る。三つ目のテーブルには3才くらいの娘さんとお母さん。お母さんが、横の老婦人に、
「ちょっと娘を見ていてくれる?私、自分の分を買ってくる。」
老婦人
「いいわよ。」
と食べこぼす女の子を手伝う。すぐにお母さんが帰ってくる。
「ちょっと混んできて、買えない。」
私の向かいに座っていた男性が
「一番端のレジは空いているよ。」
「じゃ、もう一度行ってくる。」
お母さんが再び店の中へ買いに行く。イタリア語だけどようすでわかる。他人同士でも、こんな会話がフツーなのだ。
どこで居合わせても、何かおしゃべりするといった感じ。
ボンジョルノ、グラッゼ、プレイゴ、チャオ、は1セットで使う。
それと、やっぱりおしゃれな人が多い。
流行りの、ブランドの、といった服を着ることがステイタスではなく、生き方がにじみでているのだろう年配の人のおしゃれがステキ。スタイルが確立されて、カラーのメリハリ、大人のセンスが光っている。
乾燥している空気が、鮮やかなカラーをさらに引き立ててくれるのであろう。

自転車
ミラノの街中では、自転車はほとんどが実用車だった。スピードはゆっくり。
後で私が走ってみてわかったのは、石畳の石が大きくて溝が広く、ロードバイクでは走りにくい。なのでスピードは出ない。ロードバイクはほとんど見なかった。
MTBは走っている。シングルスピードも若干走っていた。
ヨーロッパ都市部で見られる公共レンタル自転車は、街中のいたるところに設置されていた。ミラノでは、広告がなかったので行政が管理しているものと見られる。ノルウェーでは企業広告が入っていた。
レンタルシステムは、ノルウェーで見たものと同じでカードを借り、カードをかざして、自転車を取り出すといった方法だ。活用しているシーンを良く見かけた。観光者よりもビジネスマンの通勤スタイルが多かった。
「二輪」では、自転車よりもオートバイの方が多いかなと思うくらい。
モータースポーツの国だからか。
それと車の路上駐車がびっちりと並んでいた。

交通マナー
自転車の信号が赤でも車が来なければ渡っているシーンや、車もギリギリの信号のタイミングで渡ってしまうのは、日本と近い感覚があった。
信号のない横断歩道で、歩行者が車の流れを見て切れるのを確かめて渡らなければ、ドイツのようにビタッと車は止まらない。

●ミラノ→ピアチェンツァ 自走
「今日は午後から雨が降るから急いで行けよ!」
ミラノで泊まっていたホテルのフロントマンにそう言われてチェックアウトする。
ホテルからでて500mも走らないうちに雨に降られてしまった。
屋根があるところへ行き、リュックにカバーを掛け、カメラをビニール袋に入れてしまい込み雨支度をする。雲は流れて天気は変わりやすく、すぐにやんだ。濡れた石畳は滑りやすいので、慎重に走る。
ピアチェンツァの標識を探しながら進む。再び雨が降り出すがそのまま行く。
日本に置き換えると、東京駅から大月辺りを目指しているようなものだろう、都市部を抜けるのは容易ではないと思っていた。標識でいくつか曲がり、ミラノの街の中心からは抜けたと思ったら、高速の入り口に辿り着いてしまった。それよりも、この道は自転車が通ってもいいのかと思うほど車は飛ばしているし、自転車は通っていない。
近くの工事のお兄さんに聞いてもわからない感じ。もう少し先の路駐している車に聞くと、
「おまわりさんに捕まんないように気をつけて行きなー。」
みたいなことを言っているように聞こえるが早口でよくわからない。
引き返せないので、そのまま進むと空港に着いてしまった。
自分が行く予定の道には空港はない。ガソリンスタンドで道を尋ねて、自転車走行もOKというのを確かめて、教えてもらった通りに行く。
しばらくすると、道路の標識が予定の道ではないことに気づく。
再びガソリンスタンドで道を尋ね、二つ目のリングを右に曲がることを教えてもらう。
言われた通りに右へ曲がると、交通事故後の車両、パトカーが止まっていた。
気を引き締めて進む。
ヨーロッパではよくあるガソリンスタンド併設のバーを見つけ、お昼にしようと入る。
「今日は、ピザができないが、まー入れ。」
と言ってフレンドリーに迎えてくれた。
カウンターの奥のテーブルが並ぶ部屋に通され、トイレはココとまで案内してくれた。
リュックを置きパスタを注文する。そういえばと外に置いた自転車が気になって戻ると、カウンターで座っていたブルーのシャツを着た人が、
「オレが見ているから大丈夫だよ。ホラ、このワッペンが見えるだろ。」
シャツの袖のポリスワッペンを指す。
こういうところで休んでいるおまわりさんを笑ってしまい、任せてランチにした。
しばらく走って、やっと予定のSS9号線にぶつかり左折する。
これをあと真っすぐ行けばいいとホッとするが、またもや幹線道路は高速のよう。
いろんなことが頭の中をよぎる。
自転車の旅をしていたときは、ただひたすら走っていた。終わった後の生活も仕事も、またゼロからのやり直しで迷ってばかりいた。でも働くのが好きで何でも一生懸命にやった。それが今の自分につながっているんだと思う。自転車のことをいろいろ本気で思っていなければ、ミラノから高速のようなデンジャラスな道をでっかいリュック背負って自転車こいでいないよな、と。一車線の対向車が追い抜きで真正面から150キロくらいのスピードで飛ばしてきたり、小動物の死骸がときおりあって、除けて走るとクラクション鳴らされたり、危ない危ない。
進むにつれ、ジャージを着て走るロードレーサーが一人、二人と抜かして行った。
それまでロードレーサーは全く見なかった。
<あなたも日曜日はグランフォンド行くよね!>
って気持ちになる。もう町は近くなってきた。
川を渡り、ピアチェンツァの町へ着く。インフォメーションセンターへ行き、予約したホテルの場所を確かめる。ホテルに着いた。走行距離88キロ。

 
ピアチェンツァの町
ピアチェンツァの町
お店はお昼から15時ごろまでお休み
お店はお昼から15時ごろまでお休み
グランフォンド・コルナゴ受付会場
グランフォンド・コルナゴ受付会場
コルナゴゲートのスタートライン(前日に撮影)
コルナゴゲートのスタートライン
(前日に撮影)
このような景色の中を走った
このような景色の中を走った

●グランフォンド・コルナゴ 2012
2012年9月2日(日)
場所:イタリア・ピアチェンツァ
天気:曇りのち晴れ
距離:グランフォンド 161キロ
獲得標高:2318m

2600人の参加サイクリストがグランフォンド・コルナゴのスタートを待っている。
雑誌で見るロード選手のような本格的なサイクリストから、クラブチームのサイクリスト、初めてイベントに出るといったようなサイクリストまで幅は広い。
スタートする列は番号順に区切られている。私は1600番台で一番後ろのグループからのスタート。アップを終え10分前に並ぶと、もう後ろは2,30人しかいない。スタートラインは、遥かかなたで、もちろん見えない。
DJが会場全体を一体化している。絶叫とも言えるトークで会場が沸く。イタリアの明るく楽しい雰囲気たっぷりだ。
スタート時間となって前が動き出し、少しずつ進み、コルナゴゲートをくぐる。そのころには、周りのサイクリストの行くスピードが分かれてきて、私も急いで前へ進む。
すぐに高速道路へ入る。交通規制されていて走りやすく、どんどんと加速して行く。
ずっと先が見えサイクリストが続いている。スピードによって列ができ、グループが伸びたり縮んだり、追い抜かしたり追い抜かされたりする。レーンを守って誰もが真っすぐ走っているので安定感はあり、30キロ後半〜40キロ前半のスピードが続く中で走っていても危なげない。
高速道路は7,8キロで終わり、左折して一般道路に出て草原が広がる平地を集団で走る。相変わらずスピードは安定している。前後しているグループで私と脚力が近い女子ライダーがわかってくる。女性は、ほとんどがペアかチームで走っている。スタートではあまり見なかったけれど、わりと多いことがわかる。
登りに入ると、観客も多くなってくる。応援する人もまた自転車に乗ってきて、熱く声を掛けている。
ショートコース(73キロ)と分かれる分岐で急激な坂へ入る。斜度は15%くらいありそうだ。一気にスピードが落ち、こんな坂があるとは笑ってしまう。激坂は、それほど続かず5〜7%くらいになり坦々と登っていると、グループの中にいた女性ライダーが、
「チッ。」
と私へ舌打ちした。
<いいね〜。こういうの。>
と心の中で思いながら抜かして先を行く。
前を走るカップルを目指す。はじめの小高い峠をクリアし、下って休憩所。
コーラを飲んでパウンドケーキやバナナ、レモンを食べ、ボトルに水を足す。スタッフのおじいさんに、「写真、写真!」と言われ、日本人が珍しかったようで一緒に写真を撮る。
リスタート。橋を渡り川沿いを走っていると後ろから来たおじさんが、私の前を走ってくれた。ヘルメットの下にシャワーキャップを被っているのが気になる。
少しラクしていると、後ろからさっき舌打した女性を囲んだグループが来た。抜かしざまに女性ライダーが
「○×△◎〜〜!!」
何やらイタリア語で言い放って行った。
<受けて立ちますよ〜>
という気にさせてくれる。
前を走ってくれてたおじさんから離れてしまい、リラックスして自分のペースで走る。これがよかったか、次の大きな峠に入ると、グングン進みドンドン抜いて、気持ちいい。さっきの私をマークしている女性ライダーに追いつき、追い抜く。(今度は何も言わなかった)
ドンドン抜かすと、70才は越えているように見えるおじいさんが反応してきた。
しかも並走。
私があまり上げるとおじいさんが苦しそうなので少しペースを落とす。
私がタレてもおじいさんは行ってしまうので、がんばる。
そうこうしているうちに10キロ近くある標高760mの峠はクリアした。
そのとき、また別のカップルの女性ライダーが目の前を自転車に乗ったまま手放しで
ウィンドベストのジップを上げていた。さりげなくできる、カッコイイ...
そして下り。
道は山道になり、細く路面がデコボコしていたので慎重に下る。
2つめの休憩所に着くころ、また別の違う女性一人が入ったグループを見送る。
次のターゲットだ。先ほどの休憩とほぼ同じものが並び、欲しいものをつまんで、水を追加し走る。
川沿いの道を走る。晴れてきて暑くなってきた。していたアームカバーを下げる。
次の大きな峠は山岳ポイントの区間がある。
登りはじめの所からチップのセンサーが引かれているところを通過する。
ヘアピンカーブが続いているので上を見ると、さっき見送ったグループが見えてきた。
8人くらいの男性に女性が一人。もう一息だと、がんばる。
「登りはあと6キロだ、グッドラック〜。」
さっき川沿いを一緒に走っていたシャワーキャップを被ったおじさんが声を掛けてくれた。
けれど抜かす。しばらく登っていると、前の峠で並走していた70才くらいのおじいさんに抜かされる。
「よう、また会ったな。」
すごい脚力だ。
すぐ下のカーブをのぞくと、私が抜いた女性ライダー2名が追っかけてきている!
それとも私がタレてきたのか、がんばらなければ。
そして山頂近く、センサーがある所へ通過しようとすると横から男性が割り込んできた。
センサーを通過した後、その男性が私の後ろにいた女性ライダーに向かって言った。
「ここまで引いてやったのに、おまえがあの日本人抜かしたいって言っただろっ。」
と言うのがわかった。
緩い下りに入り、登りの疲れをとっていると、また別のグループの男性二人が女性ライダーを引っぱって抜かしてくる。
私は喜んでスピードを上げ、女性ライダーを抜かす。
すると、分岐にさしかかりグランフォンドとメディオフォンド(130キロ)に分かれる。
私はグランフォンドの方へ行く。
急な下りを行き、川沿いを走り、また登りに入る。
それまで前後に続いていたサイクリストはパッタリいなくなってしまった。
私はドンドン抜かれていく。がんばれーみたいな声を掛けてくれる。
大きな二つの峠で力を使い過ぎてしまったか、
グランフォンドは体力がある人のコースだったのか、、、
そう思いながらゆっくりとしたペースで登り、やっと休憩所に着いた。しかしテントの撤収が始まっていた!
<もう、そんなに遅いのか。でもまだ50キロもある、急げ!>
山の上に住んでいる人を見ながら畑に用がある人しか通らないような道を行く。
山の谷間の眺めもいい。
五つ目の峠をクリアし、最後の休憩所。ここではスタッフ、ボランティアの人たちも休憩していた。
あとは下りと平地だ。かっ飛ばして下る。
残り30キロで平地を走っていると、ガタイのいいおじさんが、「後ろにつきな」と合図してくれた。
30キロ前半のスピードで後ろにつく。ラックチーン!
山から下りると、大きな通りに入る。
曲がるところは警備が車を止めているので、自転車は、もちろん止まらないで曲がれる。
そうして再び高速道路へ。入り口は車を止めていた。スピードがアップする。
しばらくすると、おじさんがタレてきたので私が前へ出る。
帰りの高速は完全通行止めではないようで、走っていると、横にはトラックがバンバン走っていた。
再びおじさんが前を引く。高速を降り、スピードが増し、そしてゴール!
コルナゴゲートをくぐる。観客などの人はいない。
一緒に走ったおじさんと握手をする。
チップを返しに行く。
「これで、おしまい?」
チップ返却に並んでいた後ろの人に聞くと、
「パスタパーティーがあるよ、おいでよ。」
受付の時にもらった引き換え券で、パスタとバナナとハムチーズなどがのっかったプレートと水1本がもらえる。
EXPO会場にはテーブルが並び、走り終わったサイクリストが談笑している。
私も声を掛けてくれた人のチームメイト8人くらいの横に座り、バクバクと食べる。
「ロングコースを走ったの?」
「一人で来たの?」
「日本から来たの?日本のどこから来たの?」
「初めてのグランフォンド?」
「このためだけに来たの?」
と質問攻めでただうなづく私。食べ終わると、チャオーと解散した。

翌朝、地元の新聞で完走できたことがわかった。
グランフォンドの完走は、606人。私は、592番目。
時間は7時間35分52秒。制限時間が8時間なので、それほど余裕はなかった。
ちなみに、トップタイムは4時間21分。

コースレイアウトは頭に入れておいた。
曲がる箇所にはその手前から表示があり、人も立っているので間違えることはなかった。
当日、雨の予報は降られることはなく薄曇で途中から晴れる自転車には好天気。
山間の素晴らしい景色と女性ライダーの負けん気の強さを存分に楽しんだ。
一人で不安なこともあったけど、良い人たちに出会って何とかクリアできた。
日頃の行い、お天道様は見ているんだなーと、つくづく思った。

休憩所・誘導するスタッフの多さ。
曲がり角には車の通行を止めている警備がいてコースを走っている最中は止まることはない。
スタートからいた救護のための救急車(救助されているところを見た)。
ホイールを乗せたオートバイ。
高速道路を自転車イベントで通行止めにする。
沿道の応援の声。
160キロの長いエリアでこのようなイベントができる環境に驚くことばかりだった。

また、大会で使っていたチップが他のイベントにも共通で一年通じて使えるシステムになっていること。
それと参加するにあたり健康診断書の提出が必要なこと。
町にスポーツドクターがいること。
日本ではスポーツイベントの事故が多くなって後手後手にまわる対処が多いが、
そういった配慮がなされていることに深く感銘を覚えた。

それと、サイクリストのマナーの高さ。
それは強さとか速いとか遅いとか以前に走り方がマスターされていること。
レーンを守ってまっすぐ走ることができているので、スピードがあっても誰とでも安心して走れた。
急な斜行や登り坂での蛇行はいない。
地面のデコボコ、路駐のでっぱり、右側低速で走るサイクリストを知らせる、など
道路状況が変わっても、手信号を自然とするので集団で走っていても危ないところが感じられない。
また、前日・当日の受付の際、パスタパーティーEXPO会場内でも
ロードシューズのまま歩き周っている人の姿はなかった。
すべては夢のような体験だったけども、これが本場のグランフォンド。
確かめたかったこと大切なことが見れてよかった。

今回のイタリアの旅は、若い頃の恋愛のように、何を見ていても楽しくて、
ちょっとイヤなことがあっても、好きになっちゃったから許しちゃうみたいな、
出会いの一つひとつがマンガを見ているようで面白くて仕方なかった。
Bike to life −人生に自転車を−
自転車に乗り始めの頃、いろいろあって、ほんの少しの時間を見つけて自転車に乗れることを楽しみにしてた。
そのときの開放感、自由な感じ、走る実感がたまらなかった。
それから全力を掛けられる、挑戦できる、自転車を見つけ、経験を積み重ねてきた。
自転車に出会うまでは弱っちかった。
自転車で旅をしたり、仕事を見つけたり、ロードレースに出たり、ヨーロッパアルプスを越えたり、
自分でもびっくりするような景色を見ることができた。
人の後ろばかり走っていては見たい景色は見れないと思う。
自分で前を走って進めば、新しい景色が見える。