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COG > Report > The 36th Classic 300km Endurance Race TOKYO->ITOIGAWA '07
 

第36回 東京→糸魚川ファストラン 参加日記

5月17日(木)
身体に熱がこもり布団から起き上がれなかった。
1日じゅう発熱を繰り返し、熱を出させて疲れきり、食べることもできなかった。
ここ数日間は熱っぽいと思っていたが、ついに溜まった熱がでた。
自分の体力を持っている力以上にするには、時間がかかるものだと思った。
「今年の糸魚川は断念しようか」という思いも横切った。
コンディションを整えるのは、ホントに難しい。
いつも糸魚川を楽しみに走っていたので、汗を出して良くなることを願った。

18日(金)
身体ってすごい!回復してやるーと強く思うと、良くなってくる。
準備もそこそこ慌てながら、時計は針が見やすいので久々に使う腕時計を持ってウチをでた。
八王子へ自走で移動。身体に残っていた熱が走った汗で出しきれた感じだった。
腕時計を見ると針は止まっていた。電池が切れていた。

19日(土)
4:50スタート
スタートしてまもなくサイクルコンピュータを見ると表示は、ゼロ?!
今年は、そういう年なんだ。
時計もないことだし、チェックポイントのタイムも余裕がなく予想してない。
これは、何も縛られることなく、思うがままに走れってことだ。

夫も同じスタート。
去年は、30分ずらして私が後を追うスタートで今回もそのように望んでいたが、今年は一緒になってしまった。
(ちなみに夫は、私の影響でロードに乗り、糸魚川にでるようになった。)
お互いのペースで気をつけてがんばろうと、スタートした。
大垂水峠の登りでチギった。
下りで「速くなったね〜」と追いつかれ、くやしくてペダルを踏んだ。
夫も私の半日遅れで具合が悪くなり心配だったが、私のスピードは乗ってきた。
それから糸魚川まで会うことはなかった。

大月あたりから雨が降り出した。
雨は、大粒で顔に当たると痛いくらいだ。
少し過ぎると小雨になり雨が弱くなるだけでも助かったと思う。
でも雨は、嫌いではない。
雨の音が他の雑音を消し静かで、緑に囲まれているとホワッとした暖かな感じがいい。
ほてった身体をクールダウンし守られているようだ。
山を越えれば天気は、また変わる。

韮崎辺りは、なだらかな道が続く。
めいいっぱいペダルを踏みたい気持ちだから、息が切れるほど踏んだ。
どんどん突き進んだ。もちろん、疲れた。

八ヶ岳の雄姿が雨雲に覆われ今年も眺めなかった。
一昔に八ヶ岳は2,3度登った山で、景色も花も美しいところだ。
今は自転車でその脇を通っているんだ。

白州から富士見峠あたりの道をすっかり忘れていた。
道順は覚えたと思っても、記憶は定かではない。
新緑が美しい南アルプス。大きな湖、諏訪湖。
ズルをしたいわけではなく、登ったことがなかったから行ってみた塩尻の激坂。
しかし練習を積むとそんなに激坂と思えなくなっているから不思議だ。

そして北アルプス。ずっと前、北穂高にも登った。
岩山に雪が残る景色を見ると胸が高鳴る。
ヨーロッパの旅でオーストリアアルプスを走ったときも
ニュージーランドのサザンアルプスを走ったときも
そうだったように高潮する。

そして大町を越え、
青木湖、八方尾根、このあたりはスキーで来ていたことを思い出す。
そこを今は自分の力で、自転車で来ているんだなーと思いながら。
下りが続く。スピードアップする。集中する。
路面がヘコんでいるところもあるからハンドルをとられないよう、しっかりと握る。
縦に刻まれるような深い山腹にあるトンネルが続いた後、視界が開け、川の先に遠くにホテルが見える。

日本横断のこんな素晴らしい景色を1日で終わってしまうのが惜しい。

私は自転車に乗って見た景色をほとんど覚えている。
ヨーロッパやニュージーランドで見た景色。
糸魚川で通る道が、
ココの山はあの景色に似ているとか
あの町を思い出すとか
峠の傾斜とか
交差点とか
そのときの気温とか空気のにおいとか
普段では、自分が自転車の旅をしたことを忘れそうになるけど
糸魚川で、思い出される。
あの旅を回想しながら、糸魚川まで旅をしている。

もうちょっとかなと思うとまだまだだったり
夢中でペダルを回していると、あっという間に終わってしまう。
終わると道のりを忘れて、楽しかったことしか覚えていない。
次の自転車の旅を思い描いても、進まないのは、
この「糸魚川ファストラン」で気持ちが満たされるからかもしれない。

20日(日)
全身、筋肉痛。
糸魚川から高尾までバス。
高尾からウチまで40キロくらい自走。
なんだか、とっても速くなった感じがする。